崩壊の兆し
外で、表面上は平静を装っていても、家に帰ってくるといつも愚痴を言うようになり、つまらないことで喧嘩するようになった。
娘が生まれた後も慣れない育児で眠れない夜が続いた。
半分ノイローゼ状態にもなった。
娘が1歳を迎える頃、妻の精神状態は安定してきたが、今度は同時に本格的な経営の危機を迎え、また喧嘩の日々。
娘はそんな私達を見て泣き出していたが、2歳になる頃にはおもちゃを手に喧嘩の仲裁に入るようになっていた。
健気さに、胸が痛くなった。
大人の私達は嫌な事があればどこにでも逃げ出せるし、怒鳴ったり、叫んだり自由にストレスを発散できる。
しかし、2歳の娘にとって、我がままも甘えるのも親しか居ない。
私達親しか頼れる者が居ないのだ。
狭い家の中で、その親が二人いがみ合っていたら、もう仲裁するより他に平和を取り戻す手段が無いのだ。
娘の仲裁の効果は絶大で、相手に向けていた自分の鬼の様な形相に気付かされる。
涙ぐんで、下から「遊んで・・」と訴えかける娘を見てしまったら、もう喧嘩は出来なくなってしまうのだ。
そんな夫婦の危機を、何度と無く救われながら、数ヶ月の時間が経った時、私達は改めて1年後に離婚する事を決意した。
なぜ? と思われるかもしれない。
実際に周りからも何度も聞かれた。
それほど、その時の私達は周りから見て、既に仲の良い、どこにでもある一般的な家族でしかなかったのだ。
事実、私自身、離婚する直前が結婚生活で一番充実していたと思えるし、・・一番いい夫婦だった。
